12/09/2026 公開

ガイド

地方都市の広告制作会社に、いま何が起きているのか

人口4万5千人ほどの街で、6人体制の制作会社が、コーポレートサイト1本に3,800ユーロの見積書を出しました。クライアントからの返事は、ついにありませんでした。その3週間後、そのクライアントのサイトは公開されていました。日曜の午後に、自分で作ったのです。この光景は、ここ1年半のあいだ、フランス各地で繰り返されています。そして「制作会社の終わり」という一言で片づけてよい話ではありません。実際に起きているのは、そういうことではないからです。

典型的な制作会社と、その本当のビジネスモデル

この会社を、まじめに見てみましょう。6人の内訳は、営業とディレクションを兼ねる経営者、アートディレクター、コーダー、週半分稼働のエンジニア、ディレクター、そして見習いが1名。クライアントは地元中心に60社ほど。職人、自動車販売店2社、動物病院、そして商工会議所です。

このモデルは、3本の柱で成り立っていました。

  • コーポレートサイト制作。3,000〜6,000ユーロで請求し、納品までは6〜10週間。
  • 保守契約。年額600ユーロ前後の定額。実際には使い切られることはほとんどありません。
  • リニューアル。4〜5年ごとに、メーターをゼロに戻す仕事です。

このモデルが15年もったのは、誰も疑わない前提に支えられていたからです。すなわち、サイトを1本作るには複数の職種と数週間が必要で、だからこそ数千ユーロかかる、という前提です。その前提はもう成り立ちません。変わったのはそこだけですが、それだけで残り全部が動きます。

本当に壊れたのは何か

問題は、クライアントの忠誠心が薄れたことではありません。市場で価格が崩れる前に、クライアントの頭のなかで「相場」が崩れてしまったことです。数分で見栄えのするページが出てくるツールを一度見てしまった職人は、4,000ユーロの見積書をもう同じ耳では聞きません。その見積りが完全に正当なものであっても、です。

すると制作会社は、自分の仕事ではなく自分の価格を守る立場に追い込まれます。これは勝てない戦いです。「なぜ高いのか」を説明する議論で勝った人はいません。

さらに悪いことに、その議論で守っているものは、ほぼ必ず「制作作業」です。デザインの時間、コーディングの時間、検証の時間。そしてそれは、機械がちょうどいま、ほぼ無料にしてしまった部分そのものなのです。守るべき資産を、間違えています。

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制作側が吸収してしまった5つの職種

ここは冷静に、職種ごとに見ていく必要があります。現実は一様でもなく、また全面的でもないからです。

  • グラフィックデザイナー。コーポレートサイトの場合、デザインルールは色3つ、書体2つ、グリッド1つに収まることが少なくありません。この作業は今日、一文の指示から導き出せます。残るのは、作り込まれたブランドアイデンティティです。社用車の車体にも、店頭の看板にも、商品パッケージにも同時に生きるようなものです。
  • ウェブデザイナー。コーポレートサイトのレイアウトは、この10年ほど型が決まっています。ヘッダー、提供内容、実績や証拠、そして問い合わせ。スマートフォン表示まで含めてきれいに再現すること自体は、もう希少な技能ではありません。
  • コーダー。もっとも直接的に影響を受けた職種です。デザインをどの環境でも正しく表示されるページに変換する作業は、時間がかかるうえ評価されにくいものでした。ほぼ完全に吸収されました。
  • エンジニア。コーポレートサイトでは、問い合わせフォーム、地図、予約機能などで出番がありました。こうした部品は、いまでは日常の言葉で頼めるものになりました。一方、業務アプリケーションについては、何も変わっていません。
  • サーバーを守る技術者。もっとも語られないのに、もっとも重くのしかかっていた存在です。サーバー、ドメイン名、SSL証明書、バックアップ、セキュリティ更新、そして土曜日にサイトが落ちたときの緊急対応。

最後の点は強調しておく価値があります。小規模な制作会社の多くは、すでにサーバー管理を外注していました。しかもたいてい質は高くなく、採算を割る価格で請求していたのです。

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機械が奪えないもの

この会社の経営者が知っていることを、知っているツールは存在しません。自動車販売店の社長は11時前には絶対に電話に出ない、と彼は知っています。動物病院が求めているのは「安心感」であって、断じて「モダンさ」ではない、とも知っています。どの商店主が現金一括で払い、どの商店主が3回も値引きを要求してくるかも知っています。

そして、クライアントが「シンプルなものがいいんだよね」と言うとき、それが何を意味しているのかも知っています。あいまいな要望を、具体的な判断に翻訳する。これはひとつの職能です。この職能は、1センチも動いていません。

最後に、サイトが落ちたとき、電話を取る誰かが必要です。サポートセンターでも問い合わせフォームでもありません。クライアントが下の名前で呼べる、その誰かです。地方では、この距離の近さが技術よりも高く評価されます。

逆転

ここから話が反転します。制作作業の価値がなくなり、関係性の価値は変わらないままであるなら、制作会社が消える理由はどこにもありません。ただ、コスト構造をひっくり返す必要があるだけです。

具体的には、たった1人で、クライアント訪問の1回目からドメイン名・サーバー・バックアップ付きの公開サイトまで、工程全体を回せるようになりました。5つの職種を身につけたからではありません。その5つの職種が、対話に置き換わったからです。

経営者は、スタッフに説明するのと同じようにプロジェクトを説明します。すると1ページ返ってきます。修正はソフトウェアではなく、文章で伝えます。そして公開します。クライアントの目に映るのは、たった1つのことだけです。「うちの制作会社がサイトを納品してくれた」ということです。

このモデルの採算

ここから数字の話になりますが、この数字は公開されています。

Leopar では、専用サーバー、ドメイン名、毎日のバックアップ、そして修正対応まで込みのサイトが、年間 298.80 ユーロです。制作会社がこれを月額 100 ユーロの定額サービスとしてクライアントに再販した場合(それでも、同じクライアントが以前払っていた保守料+リニューアル費用を月割りした額より安く済みます)、1サイトあたり年間およそ 901 ユーロの粗利が残ります。

クライアント30社なら、年間 27 030 ユーロの継続収益です。制作作業なし、外注なし、技術的な緊急対応なし。60社なら、計算はすぐに出るでしょう。

これは以前と同じ商売ではありません。プロジェクト型ではなく、サブスクリプション型の商売です。1件あたりの儲けは小さくなり、長い目で見れば大きく増えます。そして何より、大口の案件をひとつ逃したくらいでは崩れません。

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できれば書きたくない部分

この転換には、人に関わる代償があります。それを黙っておくのは不誠実でしょう。6人の制作会社がこのモデルに移るなら、制作のために6人はもう必要ありません。必要なのは、売る人、助言する人、そして関係をつなぎ続ける人です。

職種転換の道は実際に存在し、それは現実的な選択肢です。ウェブを知っているコーダーは、優れたプロジェクトマネージャーになることが多いものです。何が実現可能かを分かっているからです。ただし、それが全員に当てはまるわけではありません。当てはまるふりをすべきでもありません。

ですから問いは、この動きが望ましいかどうかではありません。すでに起きているのです。問いはこうです。地方都市において、残された価値を誰が手にするのか。その価値とは、地元の事業者たちからの信頼です。

再販を禁じるものは何もない

最後にもう1点、はっきり語られることの少ない話です。事業者がクライアントの代わりに契約を申し込み、それを自社サービスに組み込んで、差額を自社の利益として受け取ることを妨げるものは何もありません。制作された成果物は、自由な利用・改変・ホスティングを認めるライセンスで提供されます。他社のサーバーへ移すことも含みます。

言い換えれば、制作会社は自社のものではない技術の上に、自社ブランドのサービスを組み立てられるということです。それは、サーバーやCMS、メール配信ツールで30年前からやってきたことと、まったく同じです。新しいのは、外注する部品がホスティングで終わらなくなったという点だけです。いまやそれは、制作工程そのものまで覆っています。

すでに静かに実践している会社もあります。彼らはそれを公言しません。理由は明らかです。クライアントに知られて得することが、何もないからです。

よくあるご質問

制作会社が自社の名前でサイトを再販してもよいのですか。

はい。制作された成果物は、自由な利用・改変・ホスティングを認める非独占ライセンスで提供されます。他社のサーバーへ移すことも可能です。Leopar の契約者は制作会社のままであり、自社のサービスとして誰に請求するかは自由です。詳細は利用規約に記載しています。

複数のクライアントサイトを管理するには、技術的な知識が必要ですか。

いいえ。そこが本題です。サーバー、ドメイン名、SSL証明書、バックアップ、セキュリティ更新はすべて込みで、こちらが管理します。修正はメッセージで、ふつうの言葉で依頼していただけます。

複雑な案件にも当てはまる話でしょうか。

いいえ。ここは正直に申し上げます。業務アプリケーション、数千点規模の商品カタログ、基幹システムとの連携は、いまも開発プロジェクトです。この記事の論旨が当てはまるのは、コーポレートサイトと小規模なネットショップです。そして地域の制作会社の案件の大半は、この2つです。

まとめ

いま苦しんでいるのは、制作の時間を売っていた会社です。生き残るのは、自分でも気づかないうちに別のものを売っていた会社です。すなわち、ある業界への理解、経営者からの信頼、そして「何かあれば必ず誰かが電話を取る」という確信です。

そこは自動化できません。それ以外は、たったいま自動化されました。